レールの選択とレールポイントの動作不良改善策
トミックス社レール(ポイント)の採用について
このジオラマではトミックス社のレールを採用した。これは以下の理由により使い易い品揃えと感じたためである。
- 曲線上のポイントが製品としてある。個人のジオラマでは長い直線を取れないので曲線のポイントがあるのは使いやすい。
- ポイントは完全選択式をうたっている。電気設計をする場合、運転する場合とも便利な機能である。
- 分岐側から合流側へ走行する場合、ポイントが切り替わっていなくても通過できる。運転する時に便利な機能である。
- 曲線レールがR103~R391まで、複線間隔37mmごとに揃っている。さらにR541、R605がある。
このジオラマでは現在(2015年)トミックス社の20台のポイントを使用している。このポイントは使用者側から見た場合、上述のように優れた企画・設計製品と考えるが、今回のジオラマ製作では品質上の問題に直面した。模型屋で聞く限り表面化していないようであるが、安定しないので改善策を模索し、実行したので改善策を提案すつことにした。
ポイント動作不良について
動作不良の内容
- ポイント駆動装置でポイントを切り替えたときに完全に切り替わらない。動作するレールが相手レールに接触せず隙間があいた状態である。車輪のフランジがこの隙間に入り分岐できない場合があり、脱線の原因になっている。
- 駆動装置は2個のポイントを同時に動かせるとあるが、1個のポイントは動かせても2個のポイントは動かせないものが含まれていた。
- こういう症状が何時も起きる場合と時々起きる場合があった。確率の問題であり。使用者側からみれば困る問題である。
改善策の効果
使用したポイント20台のうち不具合のあった16台についてベンジンの洗浄を行った。
- 通常のポイントはほぼ希望通り可動している。
- X状にクロスするトミックスではダブルスピップポイントと呼ばれているものを4台使用しているが、このうち1台はポイント駆動装置1台で2台のポイントを動かすことはできなかった。
安定性を確保したいと思っているので、このタイプの4台のポイントに対し、すべて1台の駆動装置で1台のポイントを動かすことにした。 - 未だジオラマ製作が完了していないので、製作過程ではゴミ、埃りの出る場合も考えられるので、メインテナンスが必要な場面も予想される。
- 今後時間の経過とともにどのようになるか見て行く。
改善策の追加案について(そろばん滑りの使用)
この不具合については事前にトミックスお客様相談センターに電話した。回答として金型離型剤の使用を提案されたが上手く行かなかった。こちらの状況が正確に伝わらなかったものと理解している。
なぜなら、提案された潤滑剤を使用して感じたことであるが、駆動力が小さいために、摺道部に粘性のある液体や、湿潤状態は不可である。乾燥していなければ動かないということである。
この段階で、乾燥した状態での潤滑性のあるものとして、そろばん滑りに辿り着いた。それなりの効果はあると考える。今後は洗浄とそろばん滑りを併用する。
- 前改善策と同様ポイントを分解する。
- そろばんにそろばん滑りを降り掛けるのと同様に、摺動部分に降り掛ける
- 洗浄と併用することで長時間に初期状態を維持できると予想している。
その他のポイント
その他のポイントも不具合があると感じたものは全てベンジンで洗浄した。同様の効果が出たと考える。
X方向分岐ポイント(ダブルスリップポイント)の不具合改善策(1)
列車を運転中にこのポイント上での脱線の頻度が次第に多くなり、ある時ポイント上で異物に「ガツン」と突き当るように停車した。この不具合は脱線のように確率の問題ではなく、現実に不具合で停止しているんで原因は直ぐに判明した。この不具合を改善したので改善策を紹介したい。
レール部のモールド不良
この原因は写真に示すようにレールが次第に浮き上がって来て、ついに列車に衝突するまでになってしまったようだ。調査の結果4台のX状ポイント中、衝突した1台と、もう1台にも浮き上がりの症状が見つかったので修理することにした。
- 浮き上がったレール部をクランパーで上下から締める。クランパーには木材を噛ませたほうがベターと思う。これにより、ポイント上面、下面プリント基板も損傷などの問題は起きない。
- 瞬間接着剤を浮き上がったレール・モールド部に滴下する。この時、可動レールに接着材が付着しないよう注意しなが進める必要がある。
- 乾燥させる。
この問題はこれで完全に解決できたと考える。
モールド部の不具合発生は構造にあると思う。通常のレールは犬釘に相当する部分がレール部分にモールド部として乗っているが、この部分には樹脂部分が乗っていないので、金属と樹脂の接着だけで止まっている形になっていた。接着力に異常があると離れてしまう。これが原因ではないかと考える。
X方向分岐ポイント(ダブルスリップポイント)の不具合(脱線)改善策(2)
列車を走行させている中でX方向分岐ポイント(ダブルスリップポイント)通過時に時々脱線をするという上述とは別の不具合があることが分かってきた。こちらは確率の問題であったが、多少改善されたように思うので紹介したい。
案内レールの不具合
X方向分岐ポイントで直線方向に進行する場合は問題ないが、方向を変更する場合、ある確率で脱線が起こったり、1つの車両の前の台車と後ろの台車が別の方向に進んでしまうことが起きていた。車両が方向を変更する場合、ポイント上に侵入したら、先ず、曲線外側車輪のフランジで案内され(写真の1)、次に曲線内側車輪のフランジのタイヤと反対面で案内され(写真の2)、その後、再び外側車輪のフランジ(写真の3)に案内が戻る構造になっているようであるが、この時フランジが案内レールに当たり、乗り上げ、脱線に至るらしいということが分かってきた。
原因は写真の2の内側車輪の案内が緩いために十分方向が変わらず、案内が写真の3に移る時にフランジとレールが当たってしまうと考えられる。ここでは写真2の案内を調整することが難しいので、写真の3のレールをやすりで削ることにした。
- 車両を手で押し、フランジとレールの当たり具合を目視し、少しづつ小さいやすりで削る。(軌道の幅を広げる方向に削る、レールの上面を削るのではない)
- 削った後、車両を押し、目視しで当たり具合を確認するという作業を繰り返し行った。
- 削りすぎると別な不具合になるので、完璧に当たらないことを確認することはできなかった。(先が尖った状態なので削りすぎるとその部分のレールが短くなる)
脱線の確立が減少したと思われる段階で作業を終わらせた。今後はこの状態で長期間運転し細かい脱線確立状況を把握して行くことになる。
その他気付いた点
X方向分岐ポイント(ダブルスリップポイント)は構造が複雑であるので止むを得ないところであるが未だ問題があるように思う。
通常、車両の重量を受ける部分は車輪のタイヤの部分であるが、このポイントは通過中に重量を車輪のフランジ先端で受ける区間がある。
この切り替わるときに「ガタガタ」とすることになる。移り変わりに重なる部分がなく急に変わるので、切り替わりが滑らかでないことになる。
車輪、フランジなどの規格、また規格はあっても、車輪やレールの製造誤差によって車両の通過は一定には行かないことが分かる。
今回の不具合調査の中で現れてきた懸念であったが脱線の遠因になっていないのかなと思っている。脱線の確率をできるだけ下げたい。
将来、重量を受ける部分の移り変わり部が重なり、滑らかに通過できるよう改良されることを期待したい。
改善策(ベンジンによる洗浄)
写真はポイントの裏側である。簡単に分解できることが分かり、幾つか解決策を模索したが、ベンジンによる洗浄が効果あることが判明したのでこの方法を紹介する。