軌道の敷設
軌道の種類
- 地上軌道(計画段階での製作予定線)
- 外周複線
- 中央駅(待避線)
- ヤード
- 高架軌道(製作段階で山岳線を追加設定)
- ループ線(1周半)
- 左右のブロック間に渡り線を設ける
- 路面電車軌道(さらに路面電車線も追加設定)
- 中央駅前へ路面電車線配線
勾配について
- 勾配緩和区間
- 地上軌道、高架軌道に勾配を設定するに当たり、勾配開始、終了部に緩和区間を設けた。
カント付きレール
- カント付きレールの導入
- 外周複線区間、山岳ループ線
軌道の敷設に当たって
製作したジオラマ(初雁霞風鉄道)は、当初、地上軌道(外周複線、駅、ヤード)のみで出発したが、製作段階で山岳路線に興味を持ち、高架軌道を加えた。その後、路面電車線も追加した。結局大きく分けて3種の軌道から成り立っている。
レールの選択について
トミックスのレールを選択した。これはレール群の中にカーブの分岐ポイントがあったためである。自宅レイアウトはスペースに制限があり、直線距離が長く取れないので、この直線区間の中にポイントを設置することに無駄を感じていた。このためカーブしている間に分岐できるのは魅力であった。
また、製作中にカント付きレールが次々発売され、本物に近い姿の走行ができるので採用を始めた。
勾配4%未満を確保するために
山岳路線を設置するに当たって種々情報から勾配4%を確保することを目指していた。山岳路線と外周複線との交差部で高度差を確保する手段として、外周複線にも勾配区間を設け、山岳路線と合わせて勾配区間の長さを増やし、交差部での高度差を確保した。製作中として大きな変更を伴った。
地上軌道の敷設
レールの敷設(サイドブロック)
- ベースボードへのレールの取り付けは釘を用いて行った。レールには釘穴がある。ただ釘の使用は最小限に留めており、固定していないレールも多くある。
- これは今後多く発生すると思われるメインテナンスや変更が生じた場合などの分解、改善のし易さのための処置である。
- 外周複線区間は勾配が設定されており30mm高さを上げる。この区間は3mm厚のべニア板をカーブに合わせて60mm幅で切り抜き、下に支えを入れ徐々に高くする。これらの支えや基板(べニア板)は接着剤で留める。
- 支えの位置はレールの釘穴に合わせると釘の効き方が良くなり、釘がべニアの下に出なく見栄えが良く、いろいろの観点から安全である。
レールの敷設(中央ブロック)
- 中央ブロックには、中央駅エリア、ヤードエリアがある。いずれも基本はレールを釘で留める。ここでも全てののレールを固定してはいない。
- 外周複線は30mm角材を敷き、その上に3mm厚60mm幅のべニア板を貼りつけレールを釘止めする。
- サイドブロック、中央ブロックとの接続部分は40mm手前でレールが終わるように設計した。両ブロック間にある80mmの区間はボード同士を接続したのち可変レールで繋ぐ方式にしている。可変レールは70mmから90mmまで長さを可変できる。
- この可変レールを外すとベースボードを外すことができメインテナンスに便利である。
軌道周辺の表現
- レールの取付の後、必要に応じ路盤、草などを周辺の表現を行うことになる。
- 周辺にバラストを撒く。草を生やすなどがある。
- 写真の場所は山岳エリアで、ヤードへの導入線と駅前路面電車線への接続線が見える。
- 道床としてバラストを撒いた部分とアクリル絵の具で塗装した部分が見える。アクリル絵の具はナチュラルグレーNo6を使用した。
- 周辺はぶどう畑である。
築堤・盛土部分の成形
- 地上軌道であるが勾配勾配区間がある。この部分は築堤・盛土を施すことにした。
- 実際の鉄道建設とは逆で、レールを敷いた後に築堤・盛土部分の成形を行う
- 盛土部は図面を書いていない、その形状を想定しながら、適宜厚紙を貼って行く。曲線部分は幅の短いものを用意して順次貼りつけカーブを作る。
- この厚紙の添付は接着剤として小西(株)のボンド17を使用した。時間がかからずに固定されてくるので作業しやすいためである。
- 接着剤が完全に乾燥の後、紙粘土で成形する。ここで形は最終形になるので、イメージしながら粘土を塗り重ねて(貼って)行く。
- 粘土は水を多く含ませると柔らかく成形しやすくなる。ただ乾燥時間が長くなり収縮率が大きくなるのかなという感触がある。
- 完全に乾燥させる。ここで使った粘土は24時間以上要した。
法面の表現(草を生やす)
- 法面の表現として先ず草を生やすことにした。
- 模型店で販売しているフォーリッジ、コースターフを使用した。
- 適切は色の材料を木工用ボンドで貼った。この後木工用ボンドを5倍程度に薄めた液を全面に滴下する。この作業で添付した材料は固定される。
軌道敷設写真の例
中央駅導入部分岐ポイント付近
外周線と山岳線の分岐ポイント付近
ヤードの入り口ポイント付近
高架軌道の敷設
高架軌道の概況
- このレイアウトではカーブを1回転半(540°)回りながら、高さが30mmから150mmまで120mm昇る高架区間が2ヶ所設置されている。
- 軌条(レール)、道床は購入品を使うが、路盤は希望に沿うものがないので自作することにした。
- 高架軌道は全て単線である。単線の路盤幅は35mmとした。
路盤の製作
- 路盤としては3mm厚のべニア板を使用し、レールに合わせて切り抜く。
- 直線は難なく一体で切り出せるが、曲線の場合は交差部分が有り不可能である。1回転半の曲線を適宜分割して、定尺の板からの無駄の無い切り出し図を描く。
- 路盤のつなぎ目は橋脚の位置とした。次の写真で路盤の繋目が判別できる。
- 切り出しについては、曲線を切る手持ちの道具が無いので、できるだけ曲線に切り出し、最後に木工用ヤスリで滑らかに仕上げた。
橋脚部分の製作
- 橋脚は設置地点での高さを勾配の計算から算出し決める。
- 材料は加工しやすい5mm厚の桐材を使用した。写真に見られるよう断面をH形の構造にした。H型を配置できない狭い場所ではT型、I型とそれぞれ工夫をした。
- 接着はボンド17を使用した。
橋脚部の表現(鉄骨橋脚)
- 軌道を維持する構造上の橋脚に実物らしい表現を行う。また、構造上の橋脚だけでは間が空きすぎるので、見かけだけの(張りぼての)橋脚も加えた。
- 表現上の橋脚は厚紙で製作する。まず、側面板(糊代付きの)を作成し、帯状の板で両側面を接続し、接着で組み上がる構造とした。
- 最後にアクリル絵の具で塗装する。
橋脚部表現(レンガ、コンクリート橋脚)
- 写真の様なコンクリート橋も製作してみた。
- これらはレンガ積み、石積みにも変更できる。
- 製作方法は鉄骨橋梁と全く同じで厚紙を使用して作った。
高架軌道の表現(安全柵)
- 安全柵は1mm厚のバルサ板を10mmほどのリボン上に切り出し路盤のべニア板に貼り付けた。接着剤は木工用ボンドを使用した。
- 接着剤乾燥後アクリル絵の具で塗装する。
- 最後にバラストを撒いた。バラストはバラストの撒き方で示した。のように行った。
路面電車線の敷設
路面電車用のレール
- 通常レールがトミックス製なので路面線路も同社のものを使用した。
- まず周辺の地盤をレール面に合わせる必要がある。
- 材料は上質紙を貼ったスチレンボードを使用する。
- 5mm厚の板を台とし、その上に1mm厚の板を敷く。
- レール面と地面の高さはこの組み合わせで違和感の無い程度に一致する。
- 地面に相当する部分はアクリル絵の具ナチュラルグレーNo6で塗装した。
- 中央駅付近一帯は全て嵩上げされたことになる。
通常レールとの接続部
- 通常レールとの接続は通常レール同士の接続と同じように繋ぐことができる。
- 通常レール部分のレール外側に地盤の嵩上げに使った方法でスチレンボードを貼り、終端部分を道床に当たらないように斜めに切り、下に折り曲げ、ボードに接着した。
- 左に見える写真の筋はレイアウトボードの接続部分であり、可変長さレールで繋いでいる。
路面電車路線の各部写真
路面電車線と道路の交差付近
道路より駅への入り口(正面右側)
道路より駅への入り口(正面左側)
勾配の設定と緩和区間について
勾配の状況と製作方法
- この模型製作で種々得た情報から勾配を4%未満にすることに注力した。
- 4%を実現するため高架区間のみに勾配を作るのではなく、外周複線区間にも勾配を作り分岐点までに30mmほど上げておくよう軌道の設計した。
- この変更により、4%未満の勾配を確保でき、交差地点で55mmの高度差を確保できた。実際には、地上複線区間(R391、R354複線半周)で平均2.6%、高架軌道単線区間(R391とR354の混合1周半)で平均3.4%であった。
- 製作については、全体の高さの差と、起点からの距離からその地点の高さを算出し、橋脚を作成し路盤下に入れてきた。
勾配の緩和について
- 勾配の開始、終了地点の列車に対する不具合の発生と、見栄えを良くするために、開始、終了地点を勾配を緩やかにする緩和区間にした。
- 勾配の開始、終了区間のレールは直線が140mm、曲線はR391、R354-22.5°を使用している。
- 緩和区間のレールの片側に路盤として使った3mm厚の板を挟む方法を取った。これにより勾配は約2.1%となり、平均勾配より小さくなっている。
- この勾配にしたことにより、この区間では走行での不具合は無い。また上り坂に差し掛かって速度が遅くなることも無い。
- 逆に、動力の無い車両を坂の頂上で離すと下までスムースに降りて来る。勾配であることが確認できる。
勾配緩和区間(直線)
- 写真上の勾配緩和区間は板を挟んで勾配緩和区間を確保している。
- 写真下の勾配緩和区間は路盤下の支え木の高さを3mm低くして勾配緩和区間を形成している。
カント付きレールの導入
このジオラマ製作中にも新規にカント付きレールが発売になって来たので採用することにした。ワイドレールと呼ばれている。
カントレール採用区間(外周複線区間)
- 外周複線区間にはR354、R391を使用した区間があり、これらにカント付きレールを使用した。
- 写真のようにカーブ内側に列車は傾いている。
カントレール採用区間(高架軌道区間)
- 高架軌道は1周半のカーブが続くが、約半周がR354、1周分はR391で作られている。この区間にカント付きレールを採用した。
- ここでも列車がカーブの内側に傾いている。
カント付きレール区間を走行する列車
山並みと高架橋の接続付近
外周複線区間
高架橋区間
カント付きレール区間を走行する列車群
この角度からも列車がカーブの内側に傾いていることが分かる。本物に少し近づいている。